俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.21
☆ 午後からは紗津姫との指導対局を集中して行い、あとは詰将棋の続きというカリキュラムになった。三時のおやつにチョコレートを食べていると、なるほど脳の疲労が緩和される感じだった。これからは部活のときにも堂々とお菓子を持ち込めそうだ。 「そういえば先輩は、普段どんな風に勉強しているんですか?」...
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部室にいるときと同じく、時間を忘れて練習を続けた。ふと気づけばもう午後五時半を回っていて、外はぼんやりと薄暗い。小腹も空いてきた。 「夕飯はどうするんだ。また出前?」 「そのつもりだけど、何にするかはまだ決めてないのよね」 「よかったら私、作りましょうか」 紗津姫がポンッと手を合わせる。 「先輩が料理するってことですか?」...
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☆ 自分以上のボディを持つ女の子なんて、そうそういないと依恋は自負している。 子供みたく白い柔らかな四肢、陶器のように理想的なカーブを描く腰回り。そして男を恍惚とさせずにはいられない、形と大きさを兼ね備えたバスト。遺伝子レベルで約束された天性のスタイルは、まさにグラビアアイドル顔負けだ。 何より、それを維持するための努力も、一日たりとも怠ってこなかった。...
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☆ 何十分もかけてゆったり入浴していた依恋と紗津姫が、光沢の増した髪を拭きながら戻ってきた。 来是は吸い込まれるように、女王の新たな装いに目を奪われる。 「か、可愛いパジャマですね。女の子らしい」 「ただピンク色というだけですよ。碧山さんのほうが、よっぽど可愛いです」 依恋はパジャマではなく、白いネグリジェだ。シルク製でとても高級そうだった。...
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☆ 翌日、トーストと牛乳だけの簡素な朝食を済ませると、予定どおりに八時から将棋を再開した。 「ここはこうやって歩をただで取らせたら、次に角を打って金銀の両取りです」 「おお! なるほど」...
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■5 「春張、これを見てくれ!」 放課後、浦辺が一枚の紙を差し出してきた。それがなんなのかはすぐにわかった。 「おおー! 写真でも先輩は綺麗だな」 この前の取材記事が、無事に新聞になったのだった。モノクロ写真の紗津姫は、実物と比べても微塵も美貌を失っておらず、むしろその淡さが新しい魅力を滲み出していた。...
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☆ 瞬く間に金曜日になった。 ゴールデンウィーク前最後の授業とあって、この昼休みはクラスメイトたちの雰囲気も明るい。あとは午後の数時間を乗り越えれば、楽しい楽しい連休なのだ。 来是も去年までは、漫画を読みまくろうとか新作ゲームを遊び尽くそうとか、人並みにゴールデンウィークを楽しみにしていた。...
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☆ 交流戦前、最後の部活。 来是は高鳴りまくる心臓の音を聞きながら、相手玉の頭に金を打ち付けた。 「負けました」 「ありがとうございました……。や、やった!」 来是はたまらずガッツポーズした。 四枚落ちとはいえ、本気の紗津姫に勝ったのだ。...
View Article俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.29
■6 将棋日和――なんてものがあるのかどうかは知らないが、ゴールデンウィーク初日は気持ちよく指せそうな快晴になってくれた。 来是と依恋に加えて新聞部の浦辺は、駅前ですでに待っていた先輩ふたりと合流する。 「おはようございます。昨夜はよく眠れました?」 「……それがあんまり。なんかドキドキして」 「あらあら」 「笑い事じゃないわよ、紗津姫さん。体調管理も部活のうちでしょ」...
View Article俺棒・電子書籍化への道 Vol.1
1.電子書籍化を目指す理由 このニコニコチャンネルだけでマネタイズを目指すのはどうにも厳しい。当チャンネルを開設して2ヶ月が経ちましたが、そんな考えが日に日に強くなっています。...
View Article俺棒・電子書籍化への道 Vol.2
1.Kindle Paperwhiteを購入 AmazonからKindle Paperwhiteが届きました。電子書籍リーダーとしてトップクラスの評価を受けている端末です。それにしても出荷時点で自分のAmazonアカウントと紐付けされていたのは驚きました。...
View Article俺棒・電子書籍化への道 Vol.3
1.俺棒、第1巻完結 4月末から連載を続けた「俺の棒銀と女王の穴熊」の第1巻が、先日をもって完結しました。すぐに第2巻の連載を開始しますが、平行して第1巻の電子書籍化を急ぎます。 そのためにはまず、人目を引く表紙イラストを作らなければなりません。これは!...
View Article俺の棒銀と女王の穴熊【2】 Vol.1
■1 「金玉……」 聞き間違いに決まっている。どう考えてもあり得ない。 そう思いたかったが、今この瞬間は当たり前のように、確かな現実だった。 春張来是は今、ひとりの女生徒に釘付けになっている。 休み時間、たまたま職員室前の廊下を歩いていると、彼女がその言葉をつぶやいたのが耳に入り、思わずその場に立ち止まってしまった。ふたりは時間が止まったように硬直していた。...
View Article俺棒・電子書籍化への道 Vol.4
1.一太郎からmobi形式で出力 第2回のエントリで「Kindleで表示させるにはEPUBから別の形式に変換しなければならないのですが」と書いていましたがこれは不正確でした。Amazonが提供する変換ツール「KindleGen」を使用すれば、EPUB同様にKindle用フォーマットのmobiに直接書き出すことができます。 【Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ】...
View Article俺棒・電子書籍化への道 Vol.5
1.いくつのストアに登録するか 当初はパブーに登録して、外部ストア連携によって労せずして複数のストアに展開するということを考えていましたが、すでに書いたとおりパブーは退会しました。 というわけで自力で各ストアに出品することになるのですが、すでに決めている登録先を書いてみたいと思います。 【Kindleストア】 業界最大手。これを外すことは考えられず。 【iBookstore】...
View Article俺の棒銀と女王の穴熊【2】 Vol.2
「こんにちは。入部希望者かな?」 「そ、その前にちょっと失礼!」 関根の横を通り抜けて、彼女はテーブルに近づく。 じーっと、初期位置に並べられたばかりの盤を見つめている。たっぷり十秒間は凝視していた。 「これだわ……! 私のユートピアはここにあったのね!」 「ちょっと、あなた何なのよ」 不機嫌な表情を隠そうともしない依恋に、謎の女生徒は微笑みかける。...
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